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愛犬どんぶり君と筑前屋さんの店長さんと2ショット

2019.3.2(土)

今夜、愛犬のどんぶり君(ニューファンドランド オス5歳)と散歩がてら草加の筑前屋さんへ行ってきました。
暑さにはとことん弱いどんぶり君ですが、寒い冬場は絶好調!
この寒い時期の土曜は草加まで遠征します。
さすがに草加まで行くと私もどんぶり君も一休みのため、草加の東口の筑前屋さんで休憩をとります。
筑前屋さんでは、今やどんぶり君はアイドルで看板犬になりました。
店員さんも私がお店に入ると、黙っていてもどんぶり君用の氷水をジョッキに入れてもってきてくれます。

写真はいつもニコニコしている筑前屋さんの店長さんで、どんぶり君が来ると必ず仕事をそっちのけで、撫でに来てくれます。
どんぶり君も店長さんのことが大好きで、店長さんにお尻をくっつけて座ります。
犬がヒトにお尻をつけてそっぽを向く行為は、信頼している人にしかしない行為です。

普段の散歩は、夕方に妻が稲荷町の葛西用水まで行って、私は歯科の仕事が終わるのが夜間診療後の9時半ぐらいになるので、それから食事を済まして散歩に出かけられるのが、夜の11時ぐらいになります。
私の普段の散歩は草加までは行きませんが、自分の健康のためにも八潮の南後谷の手代橋の手前まで行きます。
早歩きして往復で約1時間30分かかります。
因みに草加駅までだと往復1時間50分かかります。

普通の犬なら1日に2回も散歩に行ければ大喜びすると思いますが、どんぶり君はすでに夕方に妻と散歩に行っているので、省エネ思考のどんぶり君は私との散歩を嫌がります。
私が夕食を済ませて散歩の支度を始めると、どんぶり君は散歩させられるのを察知して妻の後ろに隠れます。
リードをかけて散歩に行こうと引っ張ると座ったままガンとして動こうとしません。
無理矢理リードを引っ張り玄関まで連れて行きますが、また玄関で座り込んで抵抗します。
私と妻で説得してようやく散歩に行くことができます。
ひとたび外に出ればいろいろな匂いを嗅ぎ、マーキングし、うんちもして楽しそうなのに、
この抵抗を毎回やる面倒くさい犬です。

どんぶりの排便には傾向があり、必ず散歩の往路でしかしないのと、必ず車道でしかしません。
時々排便中に車が来て、運転手さんは気を遣ってくださって終わるまで止まって待ってくれることがあります。
子供の頃はなぜか路肩をまたいで路肩の上にうんちをしていました。
理由はわかりません。

雨が降らなければ、土曜の夜の10時前後はどんぶり君と草加の筑前屋さんにいるので声をかけてください。
春になり桜が咲く頃は、暖かくなるのでどんぶり君の草加遠征も終わりを迎えます。
筑前屋さんに行けるのもそろそろ終わりで、その後は今年の11月ぐらいになるでしょう。

糖尿病と歯周病に係る医科歯科連携推進講習会

2019.2.28(木)

埼玉県歯科医師会主催の「糖尿病と歯周病に係る医科歯科連携推進講習会」を受講いたしました。

1960年代から糖尿病と歯周病との関連がすでに報告されており、現在では歯周病が糖尿病を憎悪させるリスクファクターであることが明らかになり、歯周病により血糖コントロールが改善することが指摘されています。

講演1
「埼玉県における取り組みについて」
講師 埼玉県保健医療部健康長寿課 小泉信秀 主査

講演2
「埼玉県における糖尿病重傷か予防について」
講師 埼玉県保健医療部健康長寿課 赤岩稔之 主査

講演3
「研修資料(平成29年度糖尿病と歯周病に係る医科歯科連携推進講習会から作成)を活用して地域における連携について」DVD
講師 埼玉県歯科医師会地域保険部副部長 北原俊彦 先生

DVD講演
「糖尿病を知る」
講師 さいたま市医療センター院長
   埼玉県医科歯科連携推進会議糖尿病連携作業部会委員
   加計正文 先生

本日、学会発表しました。

2019.2.11(月)

本日、日本口腔インプラント学会関東甲信越支部学術大会2日目に行って参り、学会発表いたしました。
この度、埼玉インプラント研究会で草加でご開業されている久野敏行先生のご厚意により本大会で学会発表させていただく機会をいただきました。
久野先生には大変感謝しております。

〈学会発表内容〉
下顎遊離端欠損部にブレードインプラント治療を行った30年経過症例  
〇清澤 仁1) 久野貴史1) 勝沼孝臣1) 小林良誌1) 小林由紀枝1) 中山博登1) 菅原嵩大2) 久野敏行1,3)
NPO法人埼玉インプラント研究会1), 関東・甲信越支部2),埼玉医科大学総合医療センター口腔外科3)
   A case of 30 years’ blade implant treatment in mandibular free end missing
〇KIYOSAWA H1), KUNO T1), KATSUNUMA T1), KOBAYASHI Y1), KOBAYASHI Y1),
NAKAYAMA H1), SUGAHARA T2), KUNO T1,3)
NPO Saitama Implant Association1), Kanto-Koshinetsu Branch2), Department of Oral and Maxillofacial Surgery
Saitama Medical Center, Saitama Medical University3)

T 目的:
 インプラント治療の初期にはLinkowによるブレードインプラント治療も多く行われていた.症例によってはインプラント周囲の骨吸収を伴ったインプラント周囲炎,インプラント体の沈下等でインプラント体が撤去された症例もあったと推測される.今回、ブレードインプラントを埋入し上部構造装着後,30年以上機能している症例を経験したのでその概要を報告する.

U 症例の概要:
患者:45歳8カ月 女性. 
初診:1988年2月2日.
主訴:下顎左側臼歯部欠損による咀嚼障害.
既往歴:特記事項なし.
現病歴:数年前に下顎左側臼歯部に局部義歯を装着した  
    が違和感と疼痛のため,使用出来なかった. しか  
    し, 左側での咀嚼機能を回復したいと思い当医院
    に来院.
現症:全身所見は特記事項なし.
   口腔内所見:歯周組織は比較的良好であった.
36,37は欠損していた.
エックス線所見:下顎左側大臼歯部の歯槽骨の高さ,骨質  
        は良好であった.
診断:36,37の欠損.
治療内容:
歯周基本治療後,1988年5月に下顎左側臼歯部に局所麻酔下で切開,剥離後に骨面を露出させ36,37相当部に幅約1o,長さ約20o,深さ約10oの溝をカーバイドバーにて形成し,Park Dental社製(米国)ブレードインプラントを埋入した. 同年6月に34,35とインプラントを連結したブリッジをセメント合着し治療を終了した.

V 経過:
患者は6カ月毎のメンテナンスで来院しており比較的口腔内は良好であった. 2010年10月(上部構造装着22年4カ月後)までは異常は認められなかったが, 36相当部の歯槽骨の増加が認められた.
2011年2月(23年9カ月)に34,35の齲蝕ため根管処置を行い,咬合面をレジン充填した.その後,上部構造が不適合になったため2012年2月に同部を再製した.
2017年7月に35の歯根破折のため同部を抜歯をした.同年9月, 34とインプラントを連結したブリッジをセメント合着した.CBCTではインプラント体周囲には著しい骨吸収は認められず,骨量は十分に認められた.
その後, 歯軋りのためナイトガードを装着し,3カ月ごとに来院している.2018年8月(上部構造装着30年2カ月)経過良好であった.

W 考察および結論:
 ブレードインプラントはインプラント周囲炎,インプラント体の沈下,連結した歯の破折を起こし撤去されることがあった.本症例では35の歯根破折はブラキシズムが原因と推測され抜歯になった.
 また支台歯の歯根破折により上部構造を再製作したが,30年以上長期に機能した.これは片側遊離端欠損のインプラント補綴治療で,残存歯が多数存在し,咬合高径が維持され,インプラント体埋入部位の骨量が十分存在し,口腔内清掃が良好であったため長期にインプラントが機能していたと考えられた.

以上が発表内容で発表4分質疑応答が2分でした。

1980年代初期にブレードタイプのインプラントが一世を風靡しました。
まだオッセオインテグレーションタイプインプラントは出回っておらず、ブレードタイプが主流でした。
日本でも京セラがバイオセラムインプラントを販売し、インプラントが日本の臨床家に多く広められました。
私もその一人で1985年に勤務先の院長が、京セラのブレードタイプインプラントを始めたのがきっかけです。
そして1986年に初めてこの京セラのサファイアインプラントを埋入しました。
当時の適応症は学会発表と同様に下顎の遊離端欠損で、犬歯は必ず存在することが前提で行っておりました。
そして、今では行わないインプラントと天然歯の連結が必要で2本以上の天然歯を連結させるのも条件の一つでした。
術式はインプラントを埋入し1週間後に抜糸を行って、すぐに印象採得して、天然歯とインプラントを連結した上部構造を作成してセメント合着するというものです。
今でいう即時荷重に似ていますが、これはすぐに上部構造を作成して天然歯によりブレードインプラントを固定するという意図であり、即時荷重とは概念は異なります。

また歯内骨内インプラントといって、主に上顎前歯部において歯周病や歯牙の脱臼などで動揺してしまった歯を固定するための長い棒状のインプラントもありました。
私もこの歯内骨内インプラントは、一症例行ったことがあります。
当時患者さんは50歳男性で歯周病により上顎中切歯2本の動揺で来院しました。
スーパーボンドでの固定を行いましたが、動揺のためすぐに固定は外れ1週間に1回は再固定していました。
そこで歯内骨内インプラントを提案し施術しました。
該当歯を抜随後、根管をドリリングしてなんと根尖部も穿孔させてしまいます。
根尖から約10mmまで骨を穿孔させ、直径3mmぐらいの棒状のサファイアインプラントを槌打して歯牙を固定します。
その後歯肉剥離掻爬術を行いポケットは著しく改善され、動揺もほとんどなくなりました。

また、スエーデンのブローネマルク先生によるオッセオインテグレーテッドインプラントが発明され、日本で普及したのはスイス製のITIインプラント(現在のストローマン社)でした。
当時はこのITIインプラントを購入するためには、2日間のセミナーを受講しなければならないのが前提でした。

私も1996年にこのセミナーを受講し、京セラのバイオセラムインプラントからITIのインプラントに切り替えました。
今ではインプラント体に穴など開いていませんが、当時は中空スクリューと言ってインプラント体に多数の穴が開けられていたものもありました。
このタイプはブレードインプラントと同様に槌打式で埋入するもので上顎の海綿骨など条件の悪い骨の場合に、インプラント体の内部にまで骨を侵入させてオッセオインテグレーションさせる面積を拡大する意味合いがありましたが、中空になっているためインプラント体の破折が続出したため製造中止となりました。
現在のインプラントの形態のものは、当時は充実スクリューと呼ばれておりました。
すでに現在のインプラント体の完成形でしたが、オッセオインテグレーションするようにインプラント体の表面性状をTPSにしてそれから現在のSLAとなりSLActiveも販売されました。

私は1997年にストローマン社製のSLAを初めて埋入し、それから22年経過しましたが全く骨吸収がなく良好な結果を得ております。
私自身もインプラントを入れておりますが、その結果を見て迷わずストローマン社製のインプラントスタンダードプラスSLActiveロキソリッドをストローマンインストラクターの高橋先生に埋入してもらいました。
経過は良好です。

インプラントが普及し始めた1980年代はブレードインプラント、骨膜下インプラント、現在普及しているスクリュータイプインプラントなどがあり、今から思えば、まだインプラント治療は確立されているとは言えませんでした。
当時の歯科界では、インプラント治療に疑問を持ち反対する先生も多くおりました。
今回発表させていただいたブレードタイプインプラントが30年以上に渡り良好な経過が得られているのは、まれなケースだと思います。
ほとんどのブレードタイプインプラントは、インプラント体の沈下や連結した歯牙の破折などで撤去されております。
これは、現在のスクリュータイプのインプラントと異なり、オッセオインテグレーションするわけではなく、ブレードインプラントは埋入後インプラント体周囲に一層の結合組織で覆われているだけだとわかっております。
それ故に骨と直接接触しているわけではないので骨吸収が起こりインプラント体の沈下が起きると考えられます。

日本口腔インプラント学会学術大会1日目

2019.2.10(日)

本日、日本口腔インプラント学会 第38回関東甲信越支部学術大会に出席して参りました。

〈講演内容〉

「簡便で効果的で安全で安価な骨造成法の可能性」
春日井昇平先生
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科インプラント・口腔再生医学分野教授

埼玉インプラント研究会でもたびたび講演をされる先生の講演です。
インプラント治療において必ず遭遇するのは、患者さんの骨量不足におけるインプラント埋入手術です。
近年では、骨量不足による対処法として骨移植やGBR法やスプリットクレスト法など様々な技法が進歩しており、また移植骨も自家移植はもとより、多種の人工骨が販売されており、GBR法における遮断膜も非吸収性・吸収性のものやオープンメンブレンそしてチタンメッシュなど多種多様のものがあります。

人工骨においては自家骨の代わりとして使用されていますが、外科的ダメージを軽減するためと口腔内からの自家骨採取では十分な量の骨が採取できない場合の補填的な目的があります。
人工骨には動物由来のものや化学合成物質などのものがあります。
しかしながらやはり自家骨がゴールデンスタンダードで、自家骨に勝る人工骨はありません。
医科の分野で進歩を遂げてきている再生医療は、インプラント治療においても自己血を採取したCGFなどを使用して治癒促進に応用されております。
今後は発展を遂げている再生医療に於いて細胞単位で骨を増殖させることを試みている発表でした。

「骨造成法の過去から現在」
椎貝達夫先生
東京歯科大学口腔インプラント学講座臨床教授

数年前にこの先生の骨幅を拡大するインプラント埋入法であるボーンスプレッディング法のセミナーを受講しました。
骨量不足のインプラント手術に於いて、骨造成は行う治療法は当たり前になっております。
垂直的骨造成法にはGBR法が主となり、そのほかにブロック骨移植やスプリットクレスト法などがあります。
移植材料としては自家骨が最も適した骨補填材料ですが、様々な制約によりそれに変わる人工骨材料が販売され臨床応用されています。
数年前まで日本で承認されていなかった牛骨以来の骨補填剤のバイオオスも日本でやっと認可され広く使用されるようになりました。
インプラントロジストの中ではこのバイオオスが人工骨の中で最も成績が良く優れているということですが、問題は非吸収性であることから結局骨には置換されないということとペリインプラタイティス(インプラント周囲炎)になった場合、残留しているバイオオス部に感染が波及し、感染を食い止めることができなくなる懸念があります。

椎貝先生が以前行ったGBR法の症例をご紹介され、相当量のバイオオスや自家骨を補填した症例でも10年経過するとボリュームのあった唇則骨量もほとんど消失しており、自家骨はもとより、吸収しないとされていたバイオオスも吸収されるという症例でした。
結論としては、GBR法ではどんな移植材料を使用しても造成した骨はいずれ消失していますということです。
(ただし、上顎洞挙上術のようなインプラント体の全周に骨が存在するケースでは吸収はするもののインプラントの維持に関しては問題はないとのことです。)

GBR法では露出したフィクスチャー部には既存骨ではなく補填した骨あるいは人工骨で接しているため、骨吸収が進行すると考えられます。
そうなると椎貝先生の手法であるボーンスプレッディング法あるいは最初に開発した大口先生のOAM法(大口式埋入法)であれば、インプラント体周囲は皮質骨で全面覆われるため著しい骨吸収は防止できるとのことです。
椎貝達夫先生の実際の症例でもボーンスプレッディング法で埋入したインプラント体は骨の吸収はあるもののGBR法で行った症例よりはるかに骨は残っています。
そのため椎貝達夫先生が推奨する方法では、骨幅の少ないケースではスプリットクレスト法で埋入し骨量がそれでも少ない場合は、幅を広げて間隙に補填剤あるいは自家骨を充填する方法で、なるべく抜歯即時埋入を行い唇則の既存皮質骨が吸収しないうちにインプラントを埋入することが望ましいとのことでした。

私自身も骨幅がないケースでは極力GBR法は避けて、スプリットクレスト法を行っておりますが、やってきたことが間違いなかったと改めて感じました。

「上顎洞堤挙上術におけるOCP Colによる骨造成の評価」
河奈裕正先生
神奈川歯科大学顎口腔インプラント科教授

骨補填剤には様々な種類の材料が販売されていますが、そのなかでもリン酸オクタカルシウムは、体内で新生骨の増成を促し、自家骨に置換するという補填材料です。
生体アパタイトの前駆体でヒト象牙質とマウス頭蓋骨内での存在が明らかにされているそうで、それを顆粒としてその合成に成功したそうです。
顆粒は骨補填剤と使用する際に操作性が非常に悪いのですが、この顆粒をブタ皮膚由来の医療用アテロコラーゲンとの複合体にした円盤状の塡入しやすい形態のものであるOCPを開発しました。
このCOPとは、ハイドロキシアパタイトやβリン酸三カルシウムと比較して生体内における溶解度が高く、その結晶は骨類似アパタイトへ転換することが確認されたそうで、HAやβ-TCPよりも骨芽細胞様細胞への分化促進能が高く、優れた骨再生能を発揮するそうで、自家骨や生体材料などと異なり合成材料であるため、免疫学的安定性に優れ、安定した供給も可能です。
特に上顎洞挙上術の側方アプローチに於いて、上顎洞粘膜が破れてしまった場合にコラーゲン膜でリカバリーしていたケースでも、このCOPを使用すればそのまま塡塞してコラーゲン膜の用途も発揮するという優れものです。
現在、認可待ちでもうすぐ販売が開始されるということなので、是非当クリニックでも臨床応用してみたいと思います。

「インプラント治療におけるデジタル化の理想と現実」
梅原一浩先生
梅原歯科医院院長

インプラント治療におけるデジタル化は、歯科用コーンビームCTを使用したガイデッドサージェリーやCAD/CAMシステムを応用したカスタムアバットメントや上部構造の製作が可能となりました。
過去の外科治療では経験豊富で高い技量が必要な場合でも、デジタル化によりその差は狭まりつつあります。
これは医療にとっては非常に大事なことで、匠の技がなければできないでは、医療としては成り立たちません。
インプラント治療のデジタル化は、一定の技量をもった術者ならほぼ安定した手術を行うことを可能としました。
CAD/CAMシステムにおいても、匠の技をもつ技工士しかできなかった補綴でもデジタル化により正確な精度で製作することが可能となりました。
印象に関してもラバー印象に代わり光学印象に変わりつつあり、今まで苦痛を味わった口腔内のトレーと印象材による嘔吐反射もなくなり、印象材料や模型製作の石膏硬化による精度のズレは全くなくなります。
特に多数歯欠損の症例では、有効です。

「デジタルを利用したインプラント治療の一気通貫」
十河基文先生
大阪大学大学院歯学研究科イノベーティブ・デンティストリー戦略室教授

歯科に於いて最もデジタル化が進んでいるのはインプラント治療で、コンビームCTの撮影に始まり、CTデータと口腔内模型とのマッチング、さらにそのデジタルデータをもとに最終補綴を模した診断用のCADワックスアップ、つづいてインプラント埋入シュミレーション、それを反映したCAD/CAMシステムによるガイデッドサージェリーの製作といわゆるトップダウントリートメントが可能となりました。
今までは、どこにインプラントが埋入できるか、埋入した後どのような補綴物を作成することが可能かという手法でしたがデジタル化の進歩により、まず理想的な補綴物を仮想して、それに合わせたインプラント埋入計画を行い、骨造成や再生療法の進化も伴いそれを可能にしました。
そして、補綴物の製作においても印象さえズレていなければ、CAD/CAMシステムを使用して模型通りの補綴物の作成も可能となりました。

「コンピュータガイデッド治療の臨床的優位性」
木津康博先生
医療法人社団木津歯科理事長

インプラント治療の成功には、確実な診査・診断に始まり外科処置・印象採得・補綴物の製作そしてメインテナンスにおいて全ての工程が重要となります。
この工程を全て完璧に行うのは至難の業であることも現実です。
これをできる限り可能にできるのが、デジタル化です。
まずコンピューターシミュレーションによる3次元的診査・診断・治療計画それを基にしたガイデッドサージェリーの使用による外科手術です。
CAD/CAMシステムによる上部構造も補綴におけるかなりの進化ですが、一番術者の技量によって左右されるアナログ的な要素であるのが外科手術です。
ガイデッドサージェリーの登場は一定の外科技術を備えていれば、ほぼシミュレーション通りに理想的な位置でインプラントを埋入することが可能となりました。
しかし、以前も掲載したようにガイドは正確に作成することは可能ですが、実際に施術するのは人間ですので誤差は生じることは忘れてはなりません。

明日は私が学会発表させていただきます。
演題は「下顎遊離端欠損部にブレードインプラント治療を行った30年経過症例」です。

第2回磁性アタッチメントインプラント学術大会出席

2018.11.11(日)

本日、丸ビルホールにて第2回磁性アタッチメントインプラント学術大会に出席して参りました。
今日は、他のインプラントセミナーも多数行われているにもかかわらず、本講演は満員御礼でした。
従来の入れ歯は、天然歯にバネをかけて維持するものでしたが、インプラントオーバーデンチャー(IOD)とはインプラントを土台として入れ歯を維持するものです。
インプラントオーバーデンチャーの維持装置としては、
1. ボールアタッチメント
2. バーアタッチメント
3. ロケーターアタッチメント
4. 磁性アタッチメント
などがあります。
その中の磁性アタッチメントインプラントとは、インプラントを土台としてインプラントと入れ歯を磁石で維持する入れ歯のことです。

〈内容〉
「磁性アタッチメントの積極的活用法成功のための7つの勘所」
田中讓治先生
一般社団法人日本インプラント臨床研究会会長施設長

磁性アタッチメントでは、超有名な先生でインプラント義歯に関する書籍も多数出版されています。
1. インプラント適応症拡大及び患者へのモチベーションアップ
通常のクラスプ義歯では困難なケースでもインプラントを1本埋入するだけでも義歯の安定維持が可能となります。
また、クラスプがなくなり審美的にも満足し、上顎総義歯においてはインプラントの本数しだいで無口蓋義歯にすることもできます。
認知症や半身麻痺などで入れ歯の着脱が困難になった場合でも、磁性アタッチメントではクラスプ義歯の取り外しより容易に着脱を行うことが可能となります。

2. インプラントの植立部位及び本数の原則
下顎では骨が硬いため総義歯でも2本以上から4本で十分な維持安定が可能です。
上顎では骨が軟らかいため総義歯では4本以上のインプラントが必要となります。
また、ボーンアンカードブリッジ(インプラントを土台としたブリッジ)の場合では、天然歯と連結することは禁忌ですが、磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーでは天然歯にも磁性アタッチメントをつけた組み合わせでも可能となり、適応症は拡大されます。

3. 免荷期間中の重要ポイント〈ガーゼ法〉
4. 手術後、抜糸までの重要ポイント
インプラントオーバーデンチャーを行うほとんどの症例は、無歯顎もしくは多数歯欠損となりますので、インプラント埋入手術後から義歯を使用する必要があります。
以前の方法では、インプラント埋入手術後にインプラントに外力がかかるの避けるため1ヶ月以上は義歯の使用はできず流動食の摂取となっておりました。
田中讓治先生が考案されたガーゼ法では、インプラント埋入直後から義歯を使用するという方法で、それはインプラント埋入部位の義歯を大きくくり抜いて、埋入部粘膜にガーゼを当てティッシュコンディショナーでくり抜いた部分を埋めます。
そして手術当日は、食後も就寝時も絶対に義歯を外さず、清掃は義歯を装着したままでの嗽のみです。
2日目からは食後のみ義歯を外しての清掃を行い、それ以外は義肢は装着したままで10日間これを続け、その後抜糸をします。
この方法により術後に腫脹して既存義歯が入らなくなるということもなくなり、術後腫脹も義歯で軟膜も圧迫されて軽減するという斬新なアイデアです。

5. マグネット取り付けの勘所
術者が一番神経を使うところです。
マグネット装着部位の義歯に屯路はつけずにレジンキャップを製作して、弾性材料でマグネットを接着させ、よりインプラントのキーパーと義歯のマグネットが密着する位置でのマグネット装着方法です。

6. 無口蓋義歯の製作ポイント
無口蓋義歯とは、上顎の総義歯でうわアゴ部分をくり抜いた総義歯のことです。
通常の粘膜負担のみの総義歯では、吸盤方式で入れ歯を維持しなければならないので、うわアゴ部分をくり抜いてしまうと維持が大きく損なわれるか全く維持できず落ちてしまいます。
しかし、総義歯でもインプラントを埋入すれば吸盤方式と併用することによって、入れ歯のうわアゴ部分をくり抜くことができ、今までの総義歯にない装着感が得られます。
また、発音障害も軽減され、舌がうわアゴに直接接触する爽快感や温冷感が復活します。
当然それによる味覚や食感も大きく変化して食事がおいしく召し上がれます。
下顎のインプラントオーバーデンチャーは、2本以上のインプラント埋入で義歯を製作することが可能ですが、上顎の骨は軟らかいため4本以上のインプラントが必要とされています。
無口蓋義歯にするには、4本以上のインプラントを埋入し、埋入位置は可能であるなら両側の上顎最後方臼歯部と両側の犬歯部、あるいは両側の臼歯部に2本づつですが、上顎の無歯顎患者では大臼歯部の垂直的骨吸収が進行しているため、上顎洞挙上術を行わなければ埋入することができません。
インプラントオーバーデンチャー適用年齢は高齢者がほとんどですので、外科的侵襲が大きい上顎洞挙上術は避けたいものです。
また、そこまでリスクを侵してここにインプラントを埋入する必要性はないと思いますので、上顎前歯部に4本でのインプラント埋入でも無口蓋義歯にすることは可能ですが、その場合の原則は義歯の床縁は必ず上顎結節を覆うことです。

7. ユニバーサルサポートへの配慮

●磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーの有用性と注意点
有用性は、バーアタッチメントやボールアタッチメントそしてロケーターアタッチメントと異なり、有害な側方力を逃がして取り外ししやすく、しかもメインテナンスがしやすいことで、インプラント埋入方向の平行性が悪くても適応が可能なことです。
また、クラスプがないため審美性に優れ、少数のインプラントで高い効果が期待でき、インプラント義歯の適応症が拡大されます。
そして、アタッチメントとしては長期使用でも維持力の減衰がほとんどありません。

注意点としては、術後の免荷期間に負荷を与えないことが重要なポイントで、術後10日間は含嗽以外は義歯を外さないことです。
どのアタッチメントでも同様ですが、維持装置の装着に十分注意することです。
(特にバーアタッチメントの装着はかなりの注意が必要となります。)

「磁性アタッチメントの国際規格制定・発行」
水谷紘先生
NPO法人入れ歯でカムカム会理事長
かつて海外での磁性アタッチメントは、品質が悪くステンレスのコーティングから磁力体の漏洩が報告されインプラント体に悪影響を及ぼすため、海外では普及率は低いものでした。
愛知製鋼の磁性アタッチメントは、レーザー加工によりそのような漏洩はほとんどなく磁力も低下しないことから、海外でも注目されているとのことです。

●磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーの有用性と注意点
有用性として、磁性アタッチメントは他のアタッチメントと異なり平行性が多少なくても義歯を維持することが可能なため、フィクスチャーの埋入方向の自由度が大きくなり、インプラント埋入方向が骨のある安全な位置に埋入することができるので骨造成などを回避することができます。
そして、他のアタッチメントのように強い力で外す必要がないので、義歯の着脱が容易なので高齢者・障害者に最適な維持装置です。
また、他のアタッチメントはボタン方式なので長期の反復着脱により摩耗して維持力が低下してしまい、アタッチメントの交換が必要となりますが、それに比べ磁性アタッチメントにおいては維持力が減衰しにくい利点があります。
注意点としては、他のアタッチメントと比べ磁石なので側方の維持はないので、維持力は弱くなります。
これは磁性アタッチメントの良いところでもあり弱点でもあります。

「インプラントオーバーデンチャーで超高齢社会を救えるか?」
前田芳信先生
大阪大学歯学部付属病院口腔総合診療部教授

1. IOD(インプラントオーバーデンチャー)を高齢者に積極的に適用できるのか?
2. IODは短期、長期の変化に対応できるのか?
3. 口腔内の環境改善と維持に寄与できるのか?
4. 栄養摂取を介して体力の維持と増強に寄与できるのか?
5. 栄養摂取を介して全身の健康改善維持に寄与できるのか?
6. 咬合支持を介して全身のバランスに寄与できるのか?
7. 咬合支持を介して認知機能の維持に寄与できるのか?

興味深い報告として、多数歯欠損患者において義歯やインプラントなど何らかの補綴処置を行っていない人の食生活は、咀嚼しなくても容易に摂取できる糖質の多い食べ物に偏るという結果が報告され、この高カロリー摂取と栄養バランスの偏りにより一層全身状態に悪影響を与えるということでした。
先生が面白いことをおっしゃっていましたが、スーパーの食品売り場にいる人を見学してみると、糖質の多い食品ばかりをかごに入れている人は歯がなく、肥満の人がほとんどということです。
また、片側のみの欠損を放置している患者は、平均的な両側咬合支持欠如のため平衡感覚が不安定になり、転倒しやすくなるという驚くべき報告でした。

●磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーの有用性と注意点
有用性として、磁性アタッチメントは着力点を低く設定できるため汎用性の高いアタッチメントです。
ボーンアンカードブリッジよりも清掃が容易で、磁性アタッチメントは他のインプラントアタッチメントより高径が低くても可能なので応用範囲が拡大されます。
注意点として、磁性アタッチメント有りきではなく、あくまでも従来の総義歯の製作に準じて望むことが必要不可欠です。

「可撤性インプラント上部構造で患者は満足するのか 固定性との比較から考える」
樋口大輔先生
昭和大学歯学部歯科補綴学講座講師

可撤性インプラント上部構造すなわちインプラントオーバーデンチャーと固定性インプラント上部構造であるボーンアンカードインプラントブリッジの患者満足度の比較についてです。
固定性のインプラントブリッジの方がはるかに患者満足度が良いと思いきや、調査したところインプラントオーバーデンチャーの満足度もそこまでとはいかないもののかなり満足された結果となりました。
インプラント手術及び上部構造の平均的な費用は、インプラントオーバーデンチャーで81万円程度からで、インプラントブリッジでは289万円からと3倍以上の開きがありました。
この金額の差より患者満足度はインプラントブリッジがインプラントオーバーデンチャーの3倍という開きはないので、インプラントオーバーデンチャーがいかにコストパフォーマンスに優れていることがわかります。
また、費用だけではなく手術時の外科的負担は、本数が少ないインプラントオーバーデンチャーの方が当然軽減され、骨造成のリスクも回避されます。
当クリニックでもこのような理由から多数歯欠損の方にはインプラントオーバーデンチャーを勧めております。

●磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーの有用性と注意点
有用性はボーンアンカードインプラントブリッジと比較して、少ない外科的侵襲と低コストであることが大きな点です。
また、術者可撤式であるため清掃性が非常に良く、患者本人の清掃が非常に楽であることと将来患者が寝たきりなどの要介護者になった場合でも、介護者の口腔ケアが固定性インプラントブリッジより数段しやすいことは、超高齢化社会に於いて非常に有用性があります。
磁性アタッチメントは、他のインプラントアタッチメントに比べ維持力が半永久的に持続するためランニングコストが抑えられます。
また、義歯の着脱においては装着時は磁力による誘導があるのでご老人でも簡単に行え、取り外しも片手で行えるので半身麻痺の方でも非常に楽であるという大きな利点があります。
注意点は、磁性アタッチメントのインプラント部に装着されるキーパーによるMRI撮影時にアーチファクトと言われる不鮮明な画像におけるキーパー周辺の診断が不可能になることです。
天然歯におけるキーパーでは、これを解消するにはキーパーを撤去する必要がありますが、インプラント体に装着されるキーパーはスクリュー固定ですので、MRI撮影時にキーパーを専用ドライバーで外せば、撮影は可能となるのでさほど問題ではありません。
清掃性では固定性のものより遙かに良好ですが、キーパーのマージン部の清掃を怠ってはなりません。

「IODの長期経過症例から得られた知見について」
藤野修先生
岩手医科大学歯学部臨床教授

歯周病患者におけるインプラント治療では、ほとんどの症例で顎骨欠損が見られるので、固定性のボーンアンカードインプラントブリッジにするためには、何らかの骨造成を伴ったインプラント治療となります。
それに比べて可撤性のインプラントオーバーデンチャーでは、少数のインプラント体で維持するので、骨造成を行わないですむ部位にインプラントを埋入するだけで大きな効果を発揮することが可能となります。
また、埋入位置もボーンアンカードインプラントブリッジのようにピンポイントで埋入する必要がないので応用範囲も拡大され、術者としても難症例を回避することができます。
そして部分欠損の場合では、通常のクラスプ義歯にするとクラスプによる側方圧で天然歯に過剰な負担がかかり、欠損歯の拡大が連鎖していきます。
しかし、クラスプをかけずにインプラントオーバーデンチャーにすれば、残存歯の負担が大幅に軽減され天然歯の保存が可能となり、欠損歯の拡大を防ぐことができます。
また義歯を粘膜負担にした場合では、義歯床の粘膜下の骨は必ず大きく吸収してしまいますが、インプラントオーバーデンチャーではインプラント体に義歯床を乗せることにより粘膜の負担を減少させ骨の垂直的吸収を10倍以上軽減することができます。

●磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーの有用性と注意点
固定式のインプラント上部構造と比較してイニシャルコストを抑えることができ、患者の経済的負担及び外科的侵襲を大幅に削減して機能回復を図ることが可能です。
特に磁性アタッチメントは他のアタッチメントに比べ、3次元的に理想的な位置に埋入すれば、パーツの消耗がほとんどなく、長期間にわたりパーツの交換が不要でランニングコストが抑えられます。
注意点として、通常の歯牙粘膜負担の義歯よりもインプラントオーバーデンチャーは、装着後比較的早期から人工歯の摩耗が生じるのでメインテナンスの必要性があります。
しかしそれは、インプラントにより粘膜と骨の負担が軽減されている証拠であり、バイオロジカルコストの削減に他なりません。
※バイオロジカルコストとは、金銭的なコストではなく義歯床を使用することによる顎堤の吸収すなわち機能を果たすことによる生物学的な代償のこと

「インプラントオーバーデンチャーにおける正確な下顎位の診断と最終補綴への移行」
松嶋典彦先生
日本口腔インプラント学会会員

インプラントオーバーデンチャーのロケーターアタッチメントおよび磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーの症例発表

●磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーの有用性と注意点
ボーンアンカードインプラントブリッジにするよりも低侵襲性・対費用効果・清掃性に優れ、超高齢化社会においても身体精神面でのQOLの向上と健康長寿に寄与が期待されます。
また維持安定性に優れ、顎堤の沈下を起こしにくいため天然歯列と同様の咬合接触と咬合様式を再現することができます。
注意点として、MRI撮影時の磁性アタッチメントキーパーの影響があることや就寝時にインプラントオーバーデンチャーを外したときによる対合歯とキーパーとの接触による負担過重への対応が必要です。
そしてインプラントオーバーデンチャー全般にいえることですが、アタッチメントへの負担過重による義歯破損への対応策としてメタルフレームの補強は絶対に必要となります。
術者はアタッチメントを義歯床に取り付けるのに熟練が必要ですが、磁性アタッチメントは他のインプラントアタッチメントに比較して楽に装着することができます。

「咬合崩壊症例におけるマグネットオーバーデンチャー活用に関する臨床報告」
坂田輝之先生
日本口腔インプラント学会会員

インプラントオーバーデンチャーではなく、天然歯支台のみのマグネットオーバーデンチャーの症例発表

「無歯顎症例に於いてコストを抑えたインプラント治療のいくつかの設計について」
水口稔之先生
水口インプラントセンター理事長

●磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーの有用性と注意点
有用性
1. コストパフォーマンスが高い
2. 維持力が減少しない
3. 術式がシンプルである
4. 比較的インプラント埋入方向に自由度がある
5. 過度な力からインプラントを守れる
注意点
1. 操作時に熱を加えると磁力が減少する
2. アタッチメントセット時にブレがあると維持力が低下する

「インプラントオーバーデンチャーの臨床 ロケーターアタッチメントとマグネットアタッチメントの比較」
小坪義博先生
こつぼ歯科ANNEX

かつてのインプラントオーバーデンチャーは、バーアタッチメントとボールアタッチメントが主流でしたが、磁性アタッチメントの品質の向上とボールアタッチメントより高さの低いロケーターアタッチメントの登場によりこの両者が主流となりつつあります。
また、コストの面でもバーアタッチメントは高額であり精密な技工技術とアタッチメントの装着には熟練した技術を必要としましたが、マグネットやロケーターアタッチメントでは、比較的操作が簡単に行えます。

●磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーの有用性と注意点
有用性として、技工操作が簡単でボーンアンカードインプラントブリッジに比べて部品数が少なくコストパフォーマンスに優れています。
チェアータイムも製作日数もボーンアンカードインプラントブリッジと比較して短く、かつ舌感が気にならないことが多いことです。
ボーンアンカードインプラントブリッジは固定性であることが最大の利点ですが、天然歯支台のブリッジと大きく異なるのは、天然歯よりインプラントの直径は遙かに小さいため、インプラント間の間隙が広くなるので、舌がこの間隙に触り舌感が悪くなることです。
インプラントオーバーデンチャーでは、義歯床でその間隙は封鎖されるので舌感は良好となります。
また、ボーンアンカードインプラントブリッジではインプラントの埋入位置は上部構造の形態と咬合関係に大きな影響を及ぼすため、ピンポイントでの埋入が必須となり、より高度な治療技術が術者に求められますが、インプラントオーバーデンチャーでは、そこまでピンポイントの埋入では上部構造は左右されず、多少埋入位置がズレたとしても義歯床や人工歯で修正が可能なことです。
注意点として磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーでは、インプラント体の連結固定ができないので複数のインプラント体の場合、インプラント同士の力の分散ができないことです。
また、維持力は他のインプラントオーバーデンチャーのアタッチメントの中では、最も低いことです。
しかしこれは、磁石ならではの垂直方向の力には抵抗はしますが、水平方向の力は逃がすという利点も兼ね備えています。

「補綴難症例に対するインプラントオーバーデンチャーの臨床」
鈴木恭典先生
鶴見大学歯学部有床義歯補綴学講座講師

高度に顎堤が吸収した下顎の無歯顎症例や残存歯が存在してもすれ違い咬合の症例においては、義歯の維持安定が得られず、難易度が高い症例です。
下顎の無歯顎においては、インプラント体を2本埋入したインプラントオーバーデンチャーにすることにより義歯の維持安定が、劇的に改善されます。
通常のインプラントオーバーデンチャーのほとんどは、上下顎の無歯顎の症例で行われるケースがほとんどですが、無歯顎でない残存歯があるすれ違い咬合の症例でもインプラントオーバーデンチャーは非常に有用です。
すれ違い咬合では咬合力による義歯の回転を支台装置のみで抑えることは非常に困難ですが、欠損部特に遊離端欠損部にインプラントを1本埋入するだけで部分義歯の咬合支持を向上させ劇的に部分義歯の機能と安定性を確保することが可能となります。
また、それにより残存歯の保存にもつながり、すれ違い咬合ではなくとも将来すれ違い咬合への移行の防止対策としても、インプラントパーシャルデンチャー(IRPD)は有用です。

●磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーの有用性と注意点
有用性は、患者自身の義歯の着脱が容易なので趣旨の巧緻性が低下している高齢者に便利なことです。
機能的にはクラスプデンチャーに比べて着力点が低いのでインプラント体に側方力が加わりにくく、インプラントの長期安定性が期待できます。
また、他のインプラントアタッチメントのバーアタッチメント、ボールアタッチメント、ロケーターアタッチメントでは摩擦力によりインプラントと義歯とを維持しているので、部品の摩耗による維持の低下は避けられず、アタッチメント部品の交換が必要となります。
それに比べ磁性アタッチメントは、摩擦力による維持ではなく磁力による維持なので、維持力の低下がほとんどなく、部品を交換することはほとんどないのでランニングコストを抑えることができます。
そして、他のアタッチメントより高径が低いので、クリアランスが低いケースでも応用が可能になります。
注意点としては、磁石構造体の義歯への取り付けが適切でないと大幅に維持力が低下してしまうので、術者の熟練性により維持力は左右されます。
それとMRI撮影時のアーチファクトの問題と他のアタッチメントより維持力が弱いことです。

「臨床研究から考えるインプラントオーバーデンチャー」
金沢学先生
マギル大学歯学部客員教授

カナダマギル大学による下顎インプラントオーバーデンチャーの即時荷重と通常荷重を比較する臨床研究の発表です。
即時荷重とは、インプラント埋入手術当日から上部構造を装着してしまうもので、その日からインプラントオーバーデンチャーで咀嚼が可能となります。
通常荷重とは、インプラント埋入時は旧義歯のインプラント埋入相当部を大きくくり抜いて義歯の咬合圧がインプラントにかからないようにして、約3ヶ月後オッセオインテグレーションしてからインプラントオーバーデンチャーを製作完成させる方法です。
即時荷重は、下顎のオトガイ孔間のインプラント埋入において可能なため、下顎無歯顎にインプラント体を2本埋入するケースにおいて有用です。
即時荷重ではすぐに十分な咀嚼が可能ですが、インプラントが脱落してしまうリスクがあります。
通常荷重では、インプラントが脱落するリスクは即時荷重よりはるかに減少しますが、最終補綴物ができるまで旧義歯を加工したものを使用するので義歯の安定性が悪いので食事が満足に行えないことがあげられます。
即時荷重と通常荷重を比較する臨床研究では、即時荷重を行ったグループに於いてはインプラント埋入後早期からQOLの改善が可能でしたが、インプラント周囲骨の吸収量はインプラント埋入1年後までは通常荷重に比べて即時荷重群の方が多い傾向であったようです。
しかし、3年経過後はどちらの群も骨吸収は同等になった結果が報告されました。
そうなると下顎無歯顎のインプラントオーバーデンチャーの製作において、オトガイ孔間にインプラントを埋入するなら即時荷重で行った方が患者満足度は上がります。
しかし十分注意することは、埋入時の初期固定とオステル値が十分な条件下で行うことで、条件が満たない場合は、通常荷重に切り替える必要があると思います。

●磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーの有用性と注意点
他の演者と同様のため省略します。

「IARPDにおける磁性アタッチメントのデザイン」
亀田行雄先生
かめだ歯科医院

IARPDとはImplant assisted removable partial dentureのことでインプラントを支台として総義歯ではなく、インプラントを支台とした部分義歯のことです。
総義歯のインプラントオーバーデンチャーは、その有用性と患者のQOL向上で広がりつつあります。
一方、インプラントパーシャルデンチャー(インプラント部分義歯)においては、患者及び歯科医師の有用性についてまだ理解されていないのが現状と思います。
これは部分欠損にインプラントを埋入するのであれば、ボーンアンカードインプラントブリッジすなわちインプラントのブリッジにしなければ、あまり意味がないのでは?と歯科医師も患者も思うからです。
どうせ同じ部分義歯であるなら、手術をして高額なインプラント治療を行う必要性は感じず、これまで通りの部分義歯で良いのではと思われがちです。
患者の立場なら臨床的な知識がないのでしかたありませんが、歯科医師がそう思うのは全く認識不足です。
従来の部分床義歯では顎骨の吸収や支台歯の負担というバイオロジカルコスト(生物学的な代償)がかかります。
無歯顎になった患者は、誰もが急に全部歯が抜け落ちたわけではなく1本の欠損から始まり、ブリッジそして部分床義歯を経てついに無歯顎になっていきます。
これは従来の天然歯支台の補綴法によりバイオロジカルコストがかかった結果に他なりません。
そして、部分床義歯の使用により顎骨吸収を起こし将来予想される総義歯の維持安定性に悪影響を及ぼします。
欠損歯が拡大していき、総義歯になってようやく患者はこのバイオロジカルコストがかかってしまったことに気がつきますが、歯科医師がこうであってはなりません。
部分義歯の支台をインプラントにすれば、天然歯の負担軽減により欠損歯の拡大につながるのは明らかで、また特に遊離端欠損部にインプラントを1本埋入するだけで、顎骨吸収を大幅に軽減することができます。
多数歯欠損に及ぶボーンアンカードインプラントブリッジでは高額になりますが、インプラントパーシャルデンチャーでは1本から数本の少数のインプラント体で大きな効果が期待されます。
従ってインプラントパーシャルデンチャーは、比較的低価格でバイオロジカルコストの削減につながるのでコストパフォーマンスに優れた治療法といえます。
専門知識のある我々歯科医師は、患者にあった様々な治療法を提供してその利点欠点を十分説明して、患者に決めてもらういわゆるインフォームドコンセントを行わなければいけません。
インプラント治療を行っている歯科医師はもとより、行っていない歯科医師でもこのインプラント部分義歯は欠損補綴の選択肢として、今では説明する必要性が出てきていると思われます。

●磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーの有用性と注意点
有用性としては、磁性アタッチメントは他のインプラントアタッチメントに比べ、維持・指示・把持の使い分けができることです。
また、上顎のインプラントオーバーデンチャーにおいてマグネットアタッチメントは、インプラントに側方力がかかりにくいので、長期安定性が期待できます。
下顎の臼歯部のインプラント支台のオーバーデンチャーは、強力な咬合支持を与えることが可能で、バイオロジカルコストの削減に貢献します。
注意点として、インプラントオーバーデンチャー全般にいえることですが、維持装置の補綴スペースを必要とするため、義歯の強度不足のため義歯の破損を生じやすいことです。

〈私のインプラントマグネットオーバーデンチャーのまとめとして〉
約30年ほど前に愛知製鋼が磁石体をレーザー溶接する技術により漏洩がない天然歯用の磁性アタッチメントであるマグフィットを販売しました。
当時は大手歯科関連企業のGCから販売が開始され、私はそのGCのマグフィットデビューの説明会に出席し、磁石構造体の小ささと吸着力に衝撃を受けたのを今でも覚えております。
クラスプがないため審美的に優れ、クラスプと異なり側方力がほとんどかからないので、鈎歯(クラスプがかかる歯牙のこと)に負担がかからず、欠損歯拡大防止に大きく貢献します。
しかし天然歯支台のマグネットオーバーデンチャーの大きな欠点としては、マグネットキーパーを装着するためには支台歯を抜随しなければならないこととMRI撮影の際、キーパー周囲にアーチファクトが発生してしまうことでした。

そして当時のインプラント支台のマグネットアタッチメントにおいては海外で製造されていた質の悪い磁性アタッチメントで磁石をカバーしているステンレス鋼が摩耗し磁石の漏洩によりインプラント体の腐食が起こる懸念から、使用するべきではないといわれてきました。
そのような理由から当時のインプラントオーバーデンチャーのアタッチメントは、ボールアタッチメントかバーアタッチメントに限られておりました。
近年になってボールアタッチメントより高径が低く装着可能な、ロケーターアタッチメントの販売が開始されました。
しかし、ボールアタッチメントに比べて高径が低くてすむというだけで、上顎のオーバーデンチャーのアタッチメントとしては、側方力も強く適応症とならないケースもあります。

そして最近になってようやく愛知製鋼が日本の高い技術力により漏洩のないインプラント体に装着可能なマグネットの販売を開始しました。
天然歯支台のマグネットオーバーデンチャーを数多く手がけてきた私にとっては、「待ってました。」ですぐに導入しました。
天然歯のマグネットアタッチメントの場合、キーパーを根面板に鋳接するためMRIのアーチファクトをなくすためにはキーパーを撤去する必要がありましたが、インプラント体に装着するキーパーはスクリュー固定なので、簡単にキーパーの撤去と再装着が可能です。
しかもインプラントなので、天然歯を犠牲にしないどころか欠損部が支台となるので一石二鳥となり、残存歯保護の点からしても天然歯支台のマグネットオーバーデンチャーの数倍の効果が期待できます。
そして今回の演者の先生方の発表通り、他のインプラントアタッチメントと比べて数多くの利点があります。
なんといっても骨質の悪い上顎に使用できることで、口蓋フリーにしなければインプラント1本からでも可能で、しかも他のインプラントアタッチメントと大きな違いは、天然歯支台のマグネットアタッチメントと共存できることです。
また、他のインプラントアタッチメントより維持力が弱いのが欠点でもあり大きな利点で手指の力が低下した高齢者や半身麻痺の方でも片手で義歯の着脱が可能なことです。
義歯の装着も他のアタッチメントでは、一定の位置まで義歯を持って行かないとなかなか装着できませんが、磁性アタッチメントでは適当な位置に義歯を持って行くだけでマグネットの吸引力が装着を誘導してくれるため、非常に楽に装着することができます。
清掃性にも優れ、他のインプラントアタッチメントのような摩擦力による維持ではないので維持力の低下がほとんどなくランニングコストが抑えられます。
術者にとっても数多くの利点があり
 インプラントの位置や方向をさほど気にせず埋入することが可能なこと
 ナロータイプのインプラント体でもアタッチメント装着が可能なこと
 埋入位置が比較的自由に設定できるため無理な骨造成をせずに埋入することができること
 義歯のクリアランスが少なくても応用可能なこと
 上顎でも1本から応用可能で、4本以上埋入できれば口蓋フリーにできること
 天然歯の磁性アタッチメントとも共存可能なこと
 近年登場したマグネットアタッチメントが装着可能なミニインプラントMDIを単独またはコンビネーションにより、さらに応用範囲が広がったこと
 他のアタッチメントやボーンアンカードインプラントブリッジではあり得ないことでは、たとえ埋入したインプラント体のどれかが脱落したとしても、なんとか補綴は可能になること
(これは術者にとっても患者さんにとってもインプラント治療の信頼性を損なわない大きなメリットです。)
 他のアタッチメントより維持装置の装着が容易なこと
 部分義歯に応用することにより、残存歯の保護や義歯の破折を予防できること

など多くの利点があります。
欠点としては、他のインプラントアタッチメント維持力が少ないことです。
従って磁性アタッチメントが1〜2本の場合は、粘着性の食物では義歯が外れてしまうことがあります。
また、天然歯支台の場合はMRIの撮影に支障を来すことですが、今まで数多くの天然歯支台の磁性アタッチメント義歯を手がけてきた中で、MRIの撮影のためにキーパー撤去の依頼は1度もありません。
すでに述べているようにインプラントオーバーデンチャーのキーパーの場合では、スクリュー固定なので必ず外すことができるので、問題にはなりません。
ただし、マグフィットが対応していないインプラント体においては、カスタムアタッチメントを製作してキーパーをセメント装着するしかないので、MRIの撮影に支障を来す場合はキーパーの撤去は必要となります。

磁性アタッチメントインプラントオーバーデンチャーは数多くの利点があるので、是非お勧めしたい義歯の1つです。

ニューファン どんぶりと温泉旅行

2018.10.17(水)


愛犬のどんぶり(ニューファンドランド5歳)と妻と私の3人で伊豆の城ヶ崎に行ってきました。
ペットと泊まれる露天風呂付きの温泉旅館 レジーナリゾート無麟というところです。

一昔前では、ペット同伴のホテルといったら部屋も狭く民宿のようなホテルしかありませんでしたが、最近では部屋も広くドッグランの設備も必ずあるところが増えております。
また、食事のグレードも上がって客室で食事を提供したり、全室露天風呂付きもあり贅沢なペット同伴のホテルが大人気となっております。
しかも露天風呂付きのペット同伴ホテルのほとんどは、バブル期に建てた人間相手の超高級旅館を買収したものなので、全室はなれのものがほとんどで、かなり贅沢なつくりです。

温泉に行きたくてもペットがいると、どうしてもペットホテルなどに預けていくことになり、ペットに寂しい思いをさせてしまうので、愛犬と泊まれる温泉旅館は飼い主にとっても愛犬にとってもとてもありがたいことです。

八潮から出発して途中で寄り道をして、チェックインの午後3時に到着しました。
部屋に入ると、どんぶり君はいつものように於いて行かれまいかとべったり私たちのそばから離れません。
早速、露天風呂に入ると、風呂場までくっついてきて横にべったりです。
夕食時に仲居さんが準備に来ると、人間好きのどんぶり君は、仲居さんの後をしつこく追いかけ回し、遊びに誘って仕事の邪魔をしたのでリードにつないで、夕食をとりました。

今回も自宅から歯ブラシを持参するのを忘れて、アメニティの歯ブラシを使用せざるを得ませんでした。
やはり、ホテルの歯ブラシは硬いです。
束子のようでした。
こんな硬い歯ブラシを毎日使用していたら、正しくスクラッビング法やバス法で磨いたとしても、数週間で歯肉が下がって歯の象牙質が露出し知覚過敏症になってしまいます。
さらに使用を続けたら、露出した象牙質が硬い歯ブラシの毛で摩耗しクサビ状欠損ができてしまうでしょう。
日本のホテルのアメニティの歯ブラシが未だに硬めが多いのは、硬めの歯ブラシじゃないと磨いた気がしないという人が多いからなのでしょう。
皆さんは、柔らかめの歯ブラシか、せいぜい普通の硬さの歯ブラシにしてください。

さて、就寝時はどんぶり君用にリビングに冷房をつけておきましたが、怖がりのどんぶり君は、我々の寝室に入ってきてベットの横でいびきをかいて寝ていました。

翌朝、私は日の出前に目が覚めて、なんとも贅沢に日の出を見ながら露天風呂に入り最高の気分でした。
その後どんぶり君と恒例の早朝散歩です。
普通の犬なら大喜びですが、旅で疲れているどんぶり君はイヤイヤ散歩に付き合ってくれました。
旅館から城ヶ崎海岸まで少し迷ったので1時間ぐらいかかりました。
そして長い雑木林を歩き進むと大海原の絶景が展開し大感激しました。
砂浜ではなく、まるでサスペンス劇場のラストシーンに出てくるような、固まった溶岩がゴツゴツとした断崖絶壁でした。
断崖にぶつかる波がズシリと唸り、どんぶり君も私も足がすくんでしまいました。
しばらく写真撮影をして、どんぶり君にもう帰ろうかというと、「待ってました」とばかり今まで重かったどんぶりの足取りが急に軽やかになり、帰りは上り坂なのにスタスタと歩き始めました。
旅館に帰るとどんぶり君は、疲れ果てて白目をむいて寝てしまいました。
なんて体力のない犬なのでしょう。
午後には自宅に到着しましたが、どんぶり君はまた次の日の夕方までずっと寝ていました。

国産インプラントメーカーのプラントンのエイトローブプロシステムを導入しました。

2018.10.14(日)

国産のインプラントメーカーであるプラトンジャパンのエイトローブプロインプラントシステムを導入しました。
日本人向けに開発されたインプラントです。

当クリニックでは、プラトンのミニインプラントはすでに導入しておりましたが、これは下顎のインプラント義歯適用で、骨の軟らかい上顎では脱落することがあり適用できないことがありました。
比較的安価なインプラント義歯を希望される患者さんが多いため、今回、全てのインプラント体にマグネットアタッチメント装着できる国産メーカーであるプラトンのエイトローブプロシステムフルキットを購入しました。

当歯科クリニックでは磁性アタッチメントを使用したインプラント義歯の症例は数多く行っておりますが、当クリニックでマグネットが装着できるインプラントメーカーはスイス製のストローマン社とスエーデン製のノーベルバイオケア社そしてアメリカ製のジンマー社のスイスプラスを使用しておりました。

ストローマン社とジンマー社のマグネットが装着できるインプラント体は、1回法のものなので総義歯の場合は1回法ではインプラント体のヘッドが歯肉から露出するため、インプラントがオッセオインテグレーションするまでに外力が加わりやすく、脱落の危険がありました。
それを防ぐためストローマン社製とジンマー社製のインプラントの1回法のインプラント体を使用する場合には、インプラントを深く埋入した2回法を行い、インテグレーションするまでに外力がかからないようにしておりました。
それでも1回法のインプラント体はヘッドが飛び出しているので、どうしても歯肉を閉じてもインプラントのヘッドの分、埋入部位の歯肉が豊驍オてしまい、埋入後に義歯の外力が加わらないようにどうしても義歯内面を大きくくり抜かなければなりません。
そのため、暫間的に使用する義歯の安定が悪くなってしまいます。

2回法のインプラントであるノーベルバイオケア社では、ヘッドが飛び出ないのでそのようなことはありませんが、マグネットの既製のキーパーがあるのは、ノーベルリプレイスの直径4.3mmのものなので骨の幅が狭いケースでは、使用できません。
直径4.3mmとなると日本人の骨格では、ほとんど奥歯の大臼歯部にしか適用できません。
外国製のインプラントは、日本人の細い骨格には向かないものが多いのです。
ジンマー社のスイスプラスは直径3.7mmで日本人には使用しやすい直径ですが、上記の通り1回法のインプラント体です。
同社の2回法のスクリューベントも3.7mmがありますが、既製のマグネットは愛知製鋼では製作しておりません。

今回導入した国産インプラントメーカーのプラトン社のエイトローブプロは、2回法インプラント体で直径が3.5mmと4.1mmそして4.7mmの3種類があります。
直径3.5mmのインプラント体は、骨の幅が狭い日本人にとっては、丁度都合の良い太さです。
また、インプラント長径も直径4.1mmと4.7mmのものは、6.5mmのショートインプラントもあります。
6.5mmのインプラント体は、下顎では下顎神経との距離が近いケースでも適用可能で、上顎においては大臼歯部での上顎洞までの骨の深さがあまりないケースでも、6.5mmの深さの骨があればソケットリフトやサイナスリフトなどの骨造成を回避してインプラント埋入を行うことが可能です。
そして全てのインプラント体に愛知製鋼のマグネットを装着することができます。

この日本人向けに開発されたプラトン社のエイトローブプロシステムを使用すれば、GBRや上顎洞挙上術などの骨造成を回避してインプラントを埋入する適用範囲が広がるので、インプラント義歯のみならずインプラントブリッジにも応用していきたいと思います。

〈当クリニック導入インプラントメーカー〉
●ストローマン社 
1回法 スタンダードプラス SLA 及び SLActive
   テーパードエフェクト SLA 及び SLActive
2回法 BLT SLA 及び SLActive

●ジンマー社
1回法 スイスプラス
2回法 スクリューベント

●ノーベルバイオケア社
2回法 ノーベルリプレイス

●プラトン社
1回法 マグフィットMIP
2回法 エイトローブプロ

日本口腔インプラント学会学術大会2日目

2018.9.16(日)

第48回日本口腔インプラント学会学術大会2日目 本日も大阪国際会議場にて出席して参りました。

9月16日(日)の講演内容
〈傾斜埋入を伴う少数インプラントによる全顎的即時荷重治療〉
下尾嘉昭先生
ユニバーサルインプラント研究所

全顎欠損症例においては、上顎では6〜8本、下顎では6本のインプラント体が必要とされていますが、MALO CLINICでは、後方2本を傾斜させ4本のインプラント体のみで全顎的に即時荷重を行うことを開発しました。
いわゆるALL-on-4です。
この方法は、多くの症例において良好な結果をこのクリニックで得ているようですが、様々な反対意見もあることは事実です。
ただ単に4本のインプラント体を使用して後方2本を傾斜埋入させれば、どのインプラントシステムでも良好な結果得られるとは限りません。
成功するには、術前の診査・診断から外科術式と補綴装置の製作方法、メインテナンスと全ての工程を的確に行うことが重要です。
この方法のプロトコールを解説し、ディスカッションを行った講演でした。

〈20年間の歯顎即時荷重インプラント経験から得た無歯顎のガイドライン〉
堀内克啓先生
岩手医科大学歯学部補綴インプラント科

無歯顎患者のインプラント治療においては、遅延荷重を行った場合には治療中の暫間補綴に苦慮します。
治療期間中の可撤性義歯による粘膜を介しての負荷によるディスインテグレーションや治療期間の長期化の問題があり、その解決策として即時荷重が下顎ではオトガイ孔間で行われるようになりました。
またその後、ALL-on-4による即時荷重が行われるようになりましたが、そのような症例にどの治療計画が適しているのかのガイドラインはなく、失敗に終わるケースも少なくないようです。
講演は即時荷重の成功のポイントと失敗例から得た教訓を基にしたインプラント即時荷重への警鐘と予知性の高い治療法についての考察でした。

〈全顎的即時荷重インプラント補綴は無歯顎症例に対する標準治療といえるのか?〉
細川隆司先生
九州歯科大学付属病院口腔インプラント科

無歯顎症例においては、少数の4本から6本のインプラントをできるだけ骨造成や骨移植をせずに傾斜埋入などと組み合わせて埋入して、プロビジョナルのボーンアンカードブリッジを装着して即時荷重をかける治療方式であるALL-on4が提唱される一方で、より本数を多く埋入で上部構造を製作する方法や骨造成をして傾斜埋入を避ける方法、即時荷重はリスクがあるため2回法での通常荷重を推奨する考え方も根強く残っております。
従って無歯顎の患者におけるボーンアンカードブリッジの治療法については、明確な標準治療は確立されておりません。
本講演では九州大学付属病院口腔インプラント科における、無歯顎患者の少数のインプラント体を骨移植なしに埋入し、即時荷重をかける治療方式である全顎的即時荷重インプラント補綴(ALL-on4)の適用が標準治療として位置づけできるのかの議論でした。

〈口腔内スキャナーで変わる歯科治療〉
上村江美先生
昭和大学歯学部歯科補綴学講座

デジタルデンティストリーが進化し、特に口腔内スキャナーの進歩はめざましくなっています。
口腔内スキャナーによる光学印象はシリコーン印象剤を用いた材料を介在した3次元的形態の転写の必要がないため、従来の印象剤を使用した方法と比較して制度や再現性に優れているメリットがあります。
インプラント治療においても口腔内スキャナーやコンビームCT撮影によって得られるデジタル化された3次元形態データはCADソフトで統合されてインプラント埋入シュミレーションやサージカルガイドの製作そして上部構造のデザインなどに活用されています。
従来のワークフローでは必須であった印象採得や石膏模型製作は不要となって、プランニングと上部構造の製作が可能となりました。
講演では口腔内スキャナーについての基礎的なデータと口腔内スキャナーを活用した臨床におけるデジタルワークフローと今後のインプラントにおける展開についての講演でした。

〈Intra-oral Scannerを用いたデジタル歯科治療の可能性〉
上松厚夫先生
総合インプラント研究センター

Intra-oral ScannerやコンビームCTなどから3次元で得られたデータをソフトを介して
バーチャル診断用ワックスアップでデザインを行って、STLファイル形式で送信されたデータからプロビジョナルレストレーションを3Dプリンターやミリングマシンを用いて製作するCAD/CAMシステムを用いて、補綴治療が行えるようになりました。
以前はシリコン印象材を使用して石膏模型を卓上スキャナーでスキャニングして補綴物をデザインする過程では、精度が高いとされていたシリコン印象材を使用しても印象材の変形や石膏模型の硬化膨張と石膏模型のスキャニングの3段階で変形を起こして精度が落ちてしまうことがありました。
それに比べて光学印象においては、これらの過程がないため口腔内の歯牙および軟組織と咬合関係のデータを高精度で採得することができます。
また、口腔内のマーカーを基準としてコンビームCT撮影と統合させることによって軟組織上で診査診断していた補綴学的な基準を硬組織上へ応用することによって、CAD/CAMシステムを用いて診査基準を具現化することが可能となりました。
インプラント治療ではすでにサージカルガイドを使用して、より安全なインプラント外科治療が可能となりましたが、今後はインプラントに限らず他の歯科治療にもデジタル化を応用していくかの講演でした。

〈口腔内スキャナーの現在と未来の応用〉
北原信也先生
日本大学歯学部客員教授 昭和大学歯学部客員教授

今やAI(人工知能)や自動車においては自動運転などデジタル化が進歩する中、歯科治療においてもデジタルデンティストリーは広がりを見せております。
技工サイドでは補綴治療にCAD/CAMシステムが導入されデジタル化が進んでいますが、まだまだ現在の歯科治療はアナログが主流であり、ようやくシリコン印象を使用しない光学印象による精度の高い治療が可能となりつつあります。
しかし、口腔内スキャナーの限界や完全に印象材をなくす治療には、まだまだ改良が必要とされております。
講演では、口腔内スキャナーの使用による現状の問題点から将来にわたる展望を含めたデジタルデンティストリーについての考察でした。

〈エビデンスに基づいた口腔内スキャナーのインプラント治療への臨床応用〉
深沢翔太先生
岩手医科大学歯学部補綴インプラント学講座

口腔内スキャナーの臨床応用により、一般補綴や口腔インプラント治療において適用が多くなってきました。
口腔内スキャナーは、印象材と石膏模型が不要になることから、治療時間の短縮はもとより患者の肉体的負担を軽減し材料費の節約にもなり、高い精度の補綴治療を可能としました。
現在、インプラント治療の上部構造製作においては、従来のシリコン印象材を使用した方法が一般的です。
この方法は、臼歯部の症例においては印象用のコーピングの着脱とドライバーの操作が、患者が大きく開口しなければならない苦痛と術者においてもインプラントドライバー操作や印象用部品の口腔内落下などの注意を要するストレスがあります。
口腔内スキャナーを使用すればこのようなストレスはなくなりますが、口腔インプラント治療におけるスキャナーの適用は、まだ一部の単独歯欠損症例に限られております。
多数歯欠損症例での臨床報告もありますが、精度の不安からベリフィケーションインデックスを採得する必要があるなど、まだ確立はされていません。
講演は、口腔内スキャナーの精度に関する研究と口腔インプラント治療における臨床応用可能欠損の大きさについての考察でした。

日本口腔インプラント学会学術大会1日目

2018.9.15(土)

第48回日本口腔インプラント学会学術大会 大阪国際会議場に2日間出席して参りました。
9月14日(金)は午前中のみの診療と15日(土)は休診させていただき大変ご迷惑をおかけしました。
大阪は初めての滞在でした。
14日(金)の夕方に大阪に到着し道頓堀を散策しました。

9月15日(土)の講演内容
〈インプラント治療後の変化の現状〉
椎貝達夫先生
東京歯科大学口腔インプラント学講座

かつては、ブレードタイプのインプラントから普及し、その後オッセオインテグレーションタイプのインプラント治療が臨床応用されて35年が経過しました。
ブレードタイプのインプラント体は、インプラント体の沈下や天然歯と連結することによる、天然歯根の破折など数多くの問題があり衰退しました。
それに比べて成績のよいオッセオインテグレーションタイプのインプラント体が主流となり、現在では歯科補綴治療においても第一選択となりつつ標準的な歯科治療にまで確立されました。
これからは日本社会が抱える超高齢化社会に向けて全身疾患を有するインプラント患者と向き合っていくことが問われる時代となりました。
今回の講義は、長期症例からデンタルインプラント治療における経過を観察し、どんな変化が起こっているのかを提示して年代別に応じた治療法についての考察でした。

〈高齢患者に対するプレシジョンインプラント補綴治療の提案〉
黒嶋伸一郎先生
長崎大学生命医科学域口腔インプラント学分野

高齢化社会をむかえてインプラント治療を希望する高齢患者は、年齢、有病者、薬剤服用者、生活様式や食生活、経済性によりその健康状態が大きく異なっています。
今後は患者の健康状態を見据えた歯科インプラント欠損補綴治療の展開が必要不可欠なので患者年齢と上部構造に焦点を当てて、患者の最後までを見据えたプレシジョンインプラント補綴治療についてのお話でした。

〈高齢者の口腔機能はどのように低下するのか?〉
菊谷武先生
日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック

口腔機能は咬合支持の存在だけではなく、口腔の運動機能にも大きな影響を受け、特に舌の運動機能の低下は口腔全体の機能低下に直結します。
さらに、加齢と伴に脳血管疾患の後遺症や神経変性疾患などによっても口腔機能は障害され、歯の喪失による咀嚼障害を有する患者数は増加しています。
フレイルという状態から要介護状態において、自立度の低下の原因となる身体機能の低下や認知機能低下は、口腔機能の低下の原因にもなります。
これは外来患者に通院している患者の多くは通院不可能になることが予想されます。
講演では、高齢者の口腔機能低下の原因や課程と在宅療養患者の現状についての報告でした。

〈インプラントの長期成功による天然歯の保全〉
飯島俊一先生
東京歯科大学口腔インプラント科

天然歯とインプラントの保全には天然歯と同等以上のインプラントの長期安定が必要となります。
インプラント合併症で最も多いのはインプラント周囲炎ですが、インプラント周囲炎を引き起こすメカニカルトラブルは、インプラントの構造と強度に起因します。
インプラント周囲炎を防ぐためには、ラフサーフェイスはこつで覆われる必要があり、そのために、より細いインプラントが必要になります。
しかし、インプラントの強度も確保されなければなりませんが、そのためにはインプラント体の構造はシンプルなデザインが求められます。
そしてインプラントによる天然歯の保存を目指すと、インプラントと骨との結合力の能力を高める必要があります。
また、インプラント体の軟組織貫通部をより細くして丈夫にすることによってプラーク付着防止によりインプラント周囲組織の炎症を軽減して、さらに軟組織貫通部をインプラント周囲軟組織の厚みを確保して軟組織の経年的退縮を防ぐことにより審美性の長期の維持が達成できます。
以上のことによりインプラントとしての長期臨床応用を可能にし、口腔内の残存天然歯の長期安定を行うための考察でした。

〈インプラント治療に必要な天然歯を救う技術〉
二階堂雅彦先生
東京医科歯科大学歯周病学分野

歯周病患者と健全歯肉患者のインプラント治療には差が出ることが知られています。
歯周病患者にインプラントを埋入する際には、当然のことながら残存歯の歯周治療から始まります。
歯周炎の既往をもつ患者ではインプラントの成功率と生存率が下がることは知られており、インプラント周囲炎発症のリスクファクターとして天然歯の残存ポケットとの相関関係があることもわかっております。
歯周病に罹患した歯列へのインプラント治療には、歯周病に対する十分な理解と治療技術そして、定期的なメインテナンスが重要となります。

〈天然歯とインプラントの共存 −歯周病学的側面から−〉
松井徳雄先生
銀座ペリオインプラントセンター院長

歯周病患者のインプラント治療を行う際、欠損部位に対してインプラントの適応症か否かの診断とインプラント周囲の歯槽骨や歯肉の状態形態、清掃性、上部構造、かみ合わせ、そしてメインテナンスなどに至るまでの治療計画が必要です。
インプラント体周囲に歯槽骨が存在することが理想的で、インプラント体周囲の骨造成において様々な術式が報告されています。
また、清掃性や審美性の観点からインプラント周囲に適切な厚みを持つ角化歯肉の存在も重要です。
残存歯においては、セルフケアが行える清掃性の高い口腔内環境と安定した咬合の確立も重要となります。
重度の歯周病患者のインプラント治療およびメインテナンスにおける清掃性の高い口腔内環境を保つためには、歯周ポケットの除去はもちろんのこと生理的な骨形態の獲得と付着歯肉の獲得によりプラークコントロールしやすい環境の確立が必要です。
また歯周病により歯牙が移動してしまった際には、清掃清雅の悪化や不適切な咬合が見られた場合は適切なポジションへの矯正も必要となることもあります。
講演は、天然歯とインプラントが共存するための歯周病学的配慮について、インプラント部位と残存歯についての考察でした。

〈インプラントと審美における論争と革新〉
日高豊彦先生
東京医科歯科大学非常勤講師

審美歯科領域におけるインプラント治療の長期予後を獲得するためには、インプラント埋入の基本原則に従うこと、インプラント周囲に骨または歯肉、またはその両方の移植を行うことが良いと考えられております。
自家軟組織移植は高い予知性をもちますが、インプラント周囲への硬組織移植は形態保持の永続性を考えると非吸収性材料が良いと考えられます。

〈審美性を長期間維持するために必要なインプラント周囲組織マネージメント〉
石川知弘先生
石川歯科院長
前歯部の多数歯欠損の症例においては、多くの骨と軟組織の欠損が伴うため、インプラント治療による審美性と長期安定性を獲得することは非常に困難となります。
まず術前の審査と治療計画そして患者との十分な相談を元に実現可能な治療目標について共通の認識を持つことが非常に重要となります。
特に前歯部多数歯欠損におけるボーンアンカードブリッジの補綴の場合、目標なる歯頚線を再現するためには硬組織と軟組織のマネージメントは不可欠となります。
歯周組織の付着機構が有する固有歯槽骨を維持する能力をインプラント治療に応用することは審美性の獲得と維持に有効です。
硬軟組織が不足する場合は、その形態を把握してインプラント体を骨内に納め、軟組織をサポートするための骨形態が必要です。
またGBR法による骨造成が行われる場合は再生量や使用する遮断膜の種類、骨補填材料の種類と自家骨との混合比などによって、長期的な予後が異なることがあります。
軟組織のマネージメントとして、不十分な骨造成の量と形態を補うことに加えてじょうぶこうぞうのエマージェンスエリアで軟組織の量が不足している場合は、結合組織移植による軟組織の増大が必要となります。
術後の吸収を長期的に安定した結果を得るには、質の高い結合組織を良好な条件の移植床に固定することが重要です。
講演は、長期にわたる審美的に成功させる必要なインプラント周囲組織のマネージメントについての症例と考察でした。

〈審美領域におけるデジタルテクノロジー〉
千葉豊和先生
岩手医科大学補綴 インプラント学講座

前歯部の審美領域での良好な結果を得るためには、術前の顔貌や口唇の審査、欠損歯槽の硬組織および軟組織の診査・診断から始まり、水平・垂直・傾きの3次元的に適切なインプラントポジションはもちろんのこと、インプラント周囲の硬組織及び軟組織の再構築を含めたボリュームの外科的考慮、上部構造の作製までに至る技工操作の流れ、審美的な形態と歯肉との調和のとれた上部構造の形態と咬合様式が考えられます。
特に審美領域におけるインプラント治療で十分なインプラント周囲組織の長期安定性を獲得する他もの重要事項となるのが、適正な3次元的インプラント埋入ポジションであり、現在ではデジタル機器のめざましい発展に伴い、3次元的な診察と診査からインプラント埋入ポジションの決定と診断で確定したインプラントポジションを術中に具現化させるためのサージカルガイドの作製さらに上部構造の作製においてもデジタルテクノロジーによって行うことが可能となりました。
それにより術者のみならず、患者サイドにおいても術中の軽減につながっております。
講演は、歯科審美領域への外科的、補綴的アプローチにおける注意事項と臨床応用され始めているデジタルワークフローについての講演でした。

インプラント学会第9回学術シンポジウムに出席してまいりました。

2018.7.22(日)

本日、日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部第9回学術シンポジウム
メインテーマ「集学的治療としてのインプラントを考える・若手インプラントロジストの取り組み」が日本歯科大学生命歯学部富士見ホールにて行われ、出席してまいりました。

〈内容〉
「再生医療と今後の展望」
山本麻衣子先生
東京医科歯科大学 インプラント外来
今やインプラント治療の信頼性の向上に伴いインプラントの需要が増加しました。
従来では大学病院で行っていたようなインプラント治療が困難であった骨量の少ない部位や上顎洞挙上術などでも、今や限定的ではありますが、一般歯科医院で行われるようになりました。
それにより確実性の高い治療が求められてきており、骨移植や人工骨を用いた骨造成に加えて再生医療もやっと歯科領域で行われるようになってきました。
骨造成に使用するものとして様々な代用となる人工骨が開発製品化されていますが、まだ自家骨がゴールドスタンダードとなって広く使用されております。
再生医療の方法論として、組織工学と細胞移植の2つの方法に大きく分けられますが、その組織工学的な方法としての人工骨は多く開発されて多種多様となっておりますが、細胞移植などの方法は現状では組み込まれておりません。
今回は骨再生医療、骨組織工学としての骨補填材料の問題点と再生医療の細胞移植を含めた研究や動向そして規制などの紹介と今後の再生医療の展望についての考察についてです。

「インプラント治療における血小板濃縮材料の応用」
礒邉和重先生
東京形成歯科研究会
今やインプラント治療において骨造成は避けて通れない状況となっており、それに伴ってインプラント窩治癒促進と成功率をあげるためには、再生医療は欠かせない状況となっております。
1998年に多血小板血漿のPRPが顎顔面領域の骨再生において有効であることが証明され、その後PRGFやPRFがPRPから派生した血小板濃縮材料として開発されました。
完全自己血由来のPRFの開発により臨床応用するユーザーが増えて世界的な広がりを見せています。
この血小板濃縮材料は高濃度の増殖因子によって組織の細胞が増殖し分化して、組織再生が行われます。
さらに組織再生には幹細胞を含む組織細胞の増殖と分化とともに、血小板濃縮材料は血管新生に効果的に働き間接的に抗炎症作用・抗菌作用。疼痛抑制作用が組織再生に対して重要な役割を果たしているとされています。
この血小板濃縮材料をインプラント治療で臨床応用した症例報告でした。

「上顎洞挙上術の背景と術後評価」
小川秀仁先生
みなとみらいインプラントアカデミー
かつて上顎臼歯部の骨量がないケースでは、インプラント治療は禁忌でありました。
その後、腸骨移植による上顎洞挙上術が大学病院レベルで行われるようになり一般歯科医院では、上顎洞挙上術は日常の臨床では行われることはありませんでした。
しかし現在では、骨補填材の進化とソケットリフトの登場や補填材を使用した上顎洞挙上術の術式の確立によって、一部の歯科医院でも日常的に上顎洞挙上術を臨床応用するようになっております。
また、一般歯科医院での歯科用CTの普及に伴い従来のパノラマレントゲンのみの診断とは次元の違う正確な診断が可能となりました。
術者は、上顎洞挙上術における補填材は自家骨がゴールドスタンダードではあるが、自家骨のみの採取はやはり腸骨や腓骨からの採取となり患者の外科的侵襲が大きいため、下顎枝やオトガイ下からの骨採取に吸収性の骨補填材であるβ−TCPを混入して上顎洞挙上術を行った症例を紹介しました。
自家骨のみの上顎洞挙上術と異なり、一般歯科医院で可能な比較的低侵襲で予知性のある術式と説明しておりました。

「顎骨再建、広範囲顎骨支持型装置治療の若手インプラントロジストの取り組み」
寺本裕二先生
愛知インプラントセンター
口腔顎顔面領域における腫瘍や外傷そして先天異常により顎骨欠損を生じた場合、機能的な再建が必要でインプラント治療が多く臨床応用されるようになりました。
腫瘍などにより顎骨そのものを切除した場合の顎骨再建とその再建された骨にインプラント埋入を行い、機能回復した症例の発表でした。
一般歯科医院のインプラント治療では行えない口腔外科的なインプラント治療でありましたが、ここまで顎骨の再建とインプラント治療が進歩しているのには目を見張ります。

「咬合再建を考慮した理想的な骨造成のための外科的挑戦」
広範囲顎骨欠損への骨髄海綿骨細片移植を中心に
土肥雅彦先生
日本インプラント臨床研究会
上記同様、腫瘍などにより広範囲にわたり顎骨を欠損して症例です。
以前では顎骨再建においての腸骨移植は、採取した移植骨を術中の限られた時間の中で顎骨形態にトリミングしなければならず、理想的な顎骨形態を移植するのは困難でありました。
コンビームCTの進歩により、術前にDICOMデータより作成した3−Dレジンモデルを用いて理想的な形態の違いチタンメッシュトレーや歯槽堤形成術に用いるソフトシーネの作製が可能となりました。
術中にチタンメッシュトレーの成型を行うのに比べて各段に手術時間の短縮と極めて理想的な形態の顎骨再建を行うことにより、審美的な顔貌の回復・インプラント埋入・咬合回復が可能となりました。

「矯正治療を伴うインプラントの治療計画と考察」
川原淳先生
横浜口腔インプラント研究会
成人の矯正治療において、欠損歯・進行した歯周病・放置した欠損による病的歯列不正により、矯正治療はより複雑となり対処が困難となります。
また、小児における矯正治療の固定源となる第一大臼歯の欠損した成人の症例ではインプラントを固定源とした矯正治療が可能となりました。
インプラントを応用した矯正治療の診査・診断・治療計画・術後についての発表でした。

「デンタルソリューションによるインプラント治療」
ガイド作成から上部構造まで
小野里元気先生
新潟再生歯学研究会
近年の歯科治療のデジタル技術の発展に伴い著しくインプラント治療は向上しました。
歯科用CTにおけるインプラントシュミレーションそしてサージカルガイドの製作・アバットメントの製作・インプラント上部構造の製作はCAD/CAMは当たり前となりました。
とくにコンビームCTにおけるサージカルガイド製作では、インプラントシュミレーションしたデータと口腔内スキャナーのデータをマッチングさせて、従来よりより精度の高いサージカルガイドの製作が可能となり、より安全にまた理想的な角度・深度のインプラント埋入が行えるようになりました。
口腔内スキャナーを使用することにより、一連の治療を印象なしで行い患者への不快感と負担を極力なくす治療などの発表でした。

「インプラント治療のマネージメント」
瀬戸宗嗣先生
日本歯科大学新潟病院口腔インプラント科助教授
近年の歯科界におけるデジタル技術の進歩は目覚ましくインプラント治療に多く導入されてきています。
コンビームCTの登場により以前では行えなかった術前のシュミレーションはもとより、理想的な位置で埋入が可能となったサージカルガイドの製作、CAD/CAMにおけるアバットメントや上部構造の製作そして最近では光学印象が臨床応用されて、患者の不快感を伴うシリコン印象に変わるものとなりつつあります。
しかし、術者がそれを扱う能力が伴わなければ重大なトラブルが発生します。
外科的手術においていくら精度の高いサージカルガイドを使用したとしても、基本的な切開・剥離・ドリル操作が行えなければ失敗につながります。
インプラント治療がデジタル化され進歩しても、それを使用するのは結局アナログである術者に他なりません。

「インプラント上部構造としてのセラミック修復の予知性を探る」
積田光由先生
鶴見大学歯学部クラウンブリッジ補綴学講座助教授
鶴見大学歯学部付属病院インプラントセンター
現在インプラント上部構造においては、CAD/CAMをベースとした補綴治療は当たり前のこととなっています。
特にジルコニアの歯科補綴の応用により、メタルフリー修復が可能となりました。
ジルコニアは審美的にも強度も優れており理想的な歯間修復材料と思われがちですが、インプラントを長期に安定して機能させるためには多くのファクターが存在し、上部構造のセラミックについての予知性についての講義でした。

「インプラント周囲炎の予防」
清掃性の高い補綴形態
藤井政樹先生
昭和大学インプラント歯科学講座助教授
インプラント治療が良好なインプラント埋入と上部構造が装着されても、長期安定性を確保するのはインプラント周囲炎を起こさないことです。
それは本人の日々の清掃はもちろんのこと、歯科医院での定期健診を怠らないこと、そして喫煙による血流欠乏により抵抗力低下や糖尿病などによる全身的な抵抗力の低下が起因してきます。
どんなに表面性状の良いインプラント体を埋入しても天然歯牙に勝るものはありません。
インプラント周囲炎の治療法はまだまだ確立されておらず、今後の更なる課題となるでしょう。

「インプラント周囲疾患の治療と予防について」
佐野哲也先生
総合インプラント研究センター
インプラント周囲炎は、インプラントロジストにおいて必ず経験する、もはや避けて通れない疾患です。
インプラントビギナーにとっては、インプラント埋入するための外科術式ばかり注目し勉強しがちですが、患者はインプラントを入れることが目的ではなく上部構造を装着して良く噛め、長持ちすることを願って受診するわけです。
もちろんインプラント埋入手術が、最もインプラントの長期安定性において重要な要素であることには疑いの余地はありません。
しかし、埋入後何十年という安定した咬合を維持するには、セルフケアとプロフェッショナルケアによるメインテナンスは欠かせません。
インプラント体の表面性状や骨造成そしてデジタル化の進歩は目を見張るものの、インプラント周囲炎における治療のポロトコールが確立していないのは事実です。
インプラント周囲炎にならないように、クリーニングを徹底することが何よりですが、インプラント周囲炎になってしまった場合はその治療として、超音波スケーラーによるクリーニング、エアーフローやレーザー照射による洗浄などによる非外科治療、それでも改善されない場合は、外科治療によるGBR法ですが、すでに感染しているインプラント体にこのような外科処置を行っても成功率はかなり低いものと言えます。
今後の課題としてはかなり重要な二次的なインプラント治療と言えます。

「日常臨床で遭遇したインプラントトラブルに対する考察」
村山大吾先生
埼玉インプラント研究会
歯科インプラント治療を行っている割合は平成16年で10.2%で、平成28年で約倍の24.4%との事で、全国の歯科医療機関の24.4%である14,580施設においてインプラント治療が行われているそうです。
それに伴い、歯科インプラント治療を受けて危害を受けた相談件数も増加しているのも現状です。
このようなことにならないように、若きインプラントロジストはもちろんのことベテランインプラントロジストも初心に帰り、正しい診査・診断・治療計画とインプラント術前初期治療をしっかり行う事、インプラント埋入手術及び2回法においては2次手術、補綴処置、メインテナンスと徹底した治療においてトラブルの減少は可能と思われます。

インプラント治療が24.4%も普及しているのには驚きました。
ほんの20年前の欠損補綴はブリッジが主流でありましたが、今や欠損補綴の第一選択はインプラント治療となりつつあります。
かつて日本でブリッジが登場した時は保険外の治療であったそうですが、今では極端に欠損歯数が多くなければほとんどの症例でブリッジは保険適用となっています。
あと数十年後には、大幅な虫歯の減少や歯周病も再生医療により治癒率も向上し、歯牙欠損そのものも減少し、インプラント治療も保険適用となるかもしれません。
そうなれば健全歯牙を犠牲にするようなブリッジは過去の遺物となり、インプラントが主流となるのは間違いないことと思われます。
現在、インプラント治療はほぼ確立されてきましたが、まだ進化を続けると思われます。
我々インプラントロジストは、この進化し続けるインプラント技術と新しい材料の情報を日々身に着けていく必要があります。
今後も積極的に勉強会や学会に出席し技術向上に努めたいと思います。
 
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著者:日本医院開業コンサルタント協会
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