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GCインプラントミーティング2018...

2018.01.14

本日、「GCインプラントミーティング2018」に出席してまいりました。
国内大手歯科医療メーカーの株式会社GCが主催する最新のインプラントテクニックなどを紹介するインプラントセミナーです。

〈内容〉
「インプラントガイドシステム iCAT ガイデッドサージェリーの目的」
石川明寛先生
東京都田園調布開業 歯周病インプラントセンター
 インプラントガイデッドサージェリーの目的
 インプラントガイドの精度と誤差について
 ガイドを用いたインプラント手術手順について
 インプラントガイドを用いる場合の患者の開口度について

「患者の痛みをコントロールする 15年のインプラント治療を通したトラブル対応」
松田哲先生
明海大学歯学部SP PDI東京歯科診療所
 各治療ステージにおける痛みと対処法
 痛みを和らげるための局所麻酔テクニック
 インプラント術後の疼痛緩和とブラッシング方法について
 インプラント上部構造セット後のメインテナンスについて

「GCインプラントAadvaとAadva CAD/CAMシステムの臨床応用」
谷口陽一先生
谷口歯科医院

「Interdisciplinary Approach for complex patients」
二宮祐介先生
ニノデンタルオッフィス

〈感想〉
近年、コンビームCTの普及とデジタル機器及び歯科用コンピューターソフトの進化により、理想的なインプラント埋入方向(インプラントの埋入位置である起始点・近遠心的角度・頬舌的角度・インプラント深度)を3次元的にシュミレーションを行えるようになるばかりか、コンビームCTの情報と患者の顎模型をマッチングさせるソフトの開発により、インプラント埋入をシュミレーション通りに行うことができるガイデッドサージェリーも年々進化してきました。
従来のインプラント埋入手術においては、パントモの情報のみ、さらに進化したとしてもCT撮影の情報のみで、術者の技術と経験によりインプラント埋入方向が決定していたため、理想的な位置でのインプラント植立は、術者により左右されていたのは事実に他なりません。
しかし、インプラントガイデッドサージェリーシステムの登場により、術者の技量に左右されずにプランニング通りの位置・方向・深度でインプラントの埋入が可能となりました。
また、以前に比べインプラントフラップレス手術の応用の範囲が広がり、安全性も高まったことも事実です。
しかしながらインプラント初心者の手術とベテランドクターとの差は縮まったものの、それはあくまでもデジタル上のことであり、インプラント手術そのものは事実上アナログの世界です。
従ってインプラントガイドシステムの誤った使用法や軟組織を介在することによる誤差を考慮しなければ、正確なプランニング通りの位置にはインプラントを埋入することはできません。
インプラントガイドシステムを用いた場合の誤差の平均値は、
インプラント起始点において 1.12mm~4.5㎜
インプラント埋入深度において 1.39mm~7.1㎜
インプラント埋入角度において 3.89度~21.16度
との事でこの数値は、驚くべきものでした。
特に深度の誤差が1㎜以上もあるのは驚くべきところで、7mmもあったものにおいては話になりません。
インプラント起始点や角度においてもこれだけずれるのであれば、インプラントガイドを使用しないほうがまだましと思われます。
インプラントガイドシステムをまだまだ過大評価するべきではなく、100%信頼すべきものではないと感じます。
これだけずれるのは、術者の誤ったインプラントガイドの使用法や粘膜を介在させるために起こるインプラントガイドの浮き、インプラントガイドの固定の不十分による位置のズレによるものと思われます。
当クリニックでもインプラントガイデッドサージェリーを行っておりますが、上記のデータほどではありませんが、ズレを経験したことがあります。
逆にインプラントガイドに任せず自分の経験で埋入した場合でも、シュミレーションとは異なった方向になり、やはりガイドに従ったほうが良かったという経験もあります。
その後、わたしはインプラントガイドを使用してもガイドは参考までとして、まず必ずガイドを外して目視して安全を確かめるのと、ガイドを用いて少しドリリングをした後、自分の経験値と重ねたうえで、納得がいった場合に最終深度までドリリングをしてインプラントオペを行うようにしております。

現状ではインプラントガイデッドサージェリーは誤差がつきものでありますが、術者の経験値のみでインプラント手術を行うより、インプラントガイドを用いて手術を行った方が遥かに正確にインプラント埋入を行うことができることは事実です。
また、下顎管に近接している症例や上顎洞挙上術を回避したい症例においては安全性において非常に有効であり、多数歯欠損や無歯顎におけるインプラント埋入においては起始点の決定が容易となります。
そして、なんといってもインプラント手術時間の短縮が可能となることは、術後の腫脹や疼痛緩和につながり、魅力的な長所であります。
また、以前のガイドはオートクレーブによる滅菌ができませんでしたが、現在の物では滅菌もできるようになりました。
欠点としては、開口度が少ない患者さんには使用が困難なこと、開口度がある患者さんでもやはり最後方臼歯部には使用は難しいこと(その場合は起始点の明示ができるだけでも効果はあります。)
模型送付と模型マッチング、インプラント治療計画シュミレーションデータ送付、インプラントガイド製作に至る手術開始までに日数がかかること(それも現在ではかなり短縮されました。)、それと患者さんの経済的負担が増えることです。

インプラント治療は高額な治療です、それに加えてインプラントガイドを使用すればさらに患者さんの経済的負担がかかります。
このインプラントガイデッドサージェリーは非常に良いものなので、使用することに越したことはありませんが、
当クリニックでは、患者さんと十分なカウンセリングを行って、なるべく患者さんに経済的負担をかけないようにガイドを使用するべきかを決めております。