包括的治療におけるインプラント
2018.04.15
本日、インプラント器材大手メーカーである株式会社インプラテックスのインプラントセミナーに出席してまいりました。
演題は、「全てのインプラントロジストへ 包括的治療におけるインプラント」です。
〈講演内容〉
「歯周病治療時代のインプラント治療」
雨宮 啓 先生
藤沢歯科ペリオ インプラントセンター院長
今や患者のカリエス(虫歯)に対する意識の向上と共にカリエスは激減したものの、ペリオ(歯周病)に対する意識はまだそれには及ばず、それに伴い歯周病患者のインプラント治療も多く見受けられるようになっています。
従って歯周病患者のインプラント治療は、手術を行う前に歯周病治療を行うことは大前提となっています。
再生療法の進歩と共にインプラント治療のみならず、歯周病治療も幅広い治療の選択肢ができるようになった現在では、歯周病患者の重度に骨吸収した天然歯は、抜歯してインプラント治療で対応するのか、天然歯を保存するための治療をするのかで予知性が大きく左右されることが現状です。
数十年前のインプラント治療時代のインプラント治療から、今や歯周病治療時代のインプラント治療時代に対応できる知識と技術が必要となって来ていると思われます。
10年以上前から当クリニックでもすでに取り組んでいる治療方法でした。
「少数歯欠損におけるコニカルコネクションインプラントの臨床応用」
奥山 雅人 先生
オクヤマ歯科医院院長
一昔前の欠損補綴は、少数歯欠損ではブリッジが第一選択で、最後方大臼歯が2歯欠損以上の場合は部分義歯の選択しかありえませんでした。
そのころからインプラント治療はあったもののその普及率は少なく、インプラント体や上部構造などの形状や高品質性、また骨造成法や再生療法も確立されておらず、失敗率も高い治療でありました。
現在では、CTやシュミレーションソフト、ガイデッドサージェリーのようなデジタル機器による正確な診断、そしてインプラント体の形態と表面性状によるオッセオインテグレーションの向上、CAD/CAMの登場による正確かつ緻密な補綴物の製造法の確立により、ブリッジ補綴の予知性をもはや上回る補綴方法となり、少数歯欠損においてもインプラントは第一選択となりました。
そしてコニカルコネクションの登場により、インプラント体とアバットメントとのマイクロムーブメントによる骨吸収も大幅に軽減され、より長期安定性が確保されました。
ブリッジや義歯による補綴と比べるとインプラント治療の大きなメリットは、残存歯の保存でありますが、術前診査を的確に行わなければその予後は大きく変わってしまいます。
講義では、生体の変化に対応したインプラント治療の診査・診断・治療計画・補綴マテリアルを含めた長期安定性を目指した術式の説明がありました。
「インプラント治療で包括的治療は変わる」
白鳥 清人先生
白鳥歯科インプラントセンターセンター長
現在ではインプラント治療は欠損部の代替治療ではなく、第一選択の欠損補綴治療となりつつあります。
それはインプラント治療が、ブリッジの回避・咬合支持の獲得・残存歯の温存・審美の獲得に有効であり、インプラント治療の長期安定性が確立されてきたため、包括的な治療計画は以前と比べかなり変わりました。
またインプラント機器の進歩も目覚ましく、特にピエゾサージェリーの応用により、より低侵襲かつ良好な骨造成が可能となり、さらにインプラントの適応症例は拡大しています。
当クリニックでもピエゾサージェリーに導入により、安全で低侵襲なインプラント治療が行えるようになりましたし、かつてインプラント治療ができなかったケースにおいてもピエゾサージェリーによりそれが可能となりました。
講義では、ほとんどの欠損部にインプラント治療が行えるようになった今、包括的治療においてインプラントの応用によりどのように治療計画を立てていくのかのお話しでした。