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入れ歯でお悩みの方に朗報! 新製品マ...

2015.04.29

入れ歯でお悩みの方に朗報! 新製品マグネット式ミニインプラント入れ歯のセミナーに参加してまいりました。

本日、ミニインプラントオーバーデンチャーマグフィットMIP講習会を受講してまいりました。
ミニインプラントとは、通常のインプラント体の直径(最小で3.7㎜)よりも径が小さい2.6mmのインプラントのことで、オーバーデンチャーとは、そのインプラント体の上に入れ歯をのせて維持装置をつけた入れ歯のことです。
その維持装置には、ボタン式で入れ歯をつけるものやカギ状の棒で入れ歯をがっちり押さえつけるものがありますが、マグフィットとは磁石で入れ歯をつける維持装置のことです。
以前から、通常のインプラント体にマグネットをつける製品はありましたが、ミニインプラントに磁石を装着できる製品は初めてです。

この製品は、ミニインプラントメーカーのプラトンジャパンとマグフィットのメーカーの愛知製鋼とが共同開発した新製品です。
また、従来のミニインプラントでは、ボールアタッチメント付きの維持装置でしたが、ボタン式で止めるため、咀嚼時に入れ歯が動く遊びがありませんでした。
そのためインプラント体に負担がかかり、入れ歯やインプラント体の破折やインプラント体の脱落が起こる可能性がありました。
しかし、今回維持装置がマグネットのため、入れ歯の上下方向には抵抗をして外れない力はかかりますが、磁石の特性として横方向には力が働かないため、インプラント体に優しい入れ歯になります。
しかも、インプラント体の直径が小さいため、手術による患者さんのダメージが少ないことや骨の幅がなく骨造成を行わなければインプラント体を埋入できないケースでも骨造成なしに埋入できること、そして通常のインプラント体よりも価格が安いこと、術者の立場からは術式が非常にシンプルであることが大きな利点です。

〈講義内容〉
田中譲治先生
田中歯科医院院長
日本大学松戸歯学部臨床教授
日本インプラント臨床研究会会長
日本口腔インプラント学会専門医・指導医
●インプラントオーバーデンチャーの有用性について
●インプラントオーバーデンチャー症例のガイドラインについて
●待望の磁性アタッチメント専用ミニインプラント
●健康長寿につながる要をも見据えたインプラント治療について
●マグフィットMIPのコンセプト・詳細・術式

水谷先生
元東京医科歯科大学准教授
日本磁気歯科学会会長
●磁性アタッチメントの特徴・種類・適応症について
●総入れ歯・部分入れ歯のマグネットデンチャーの設計・人工歯排列・咬合様式について
●磁性アタッチメントの注意事項やリライニングとメインテナンスについて
●国際標準化機構からの磁性アタッチメント規格の承認について

●インプラント埋入とマグフィットMIPのデモンストレーションと歯科模型実習
●質疑応答、終了証授与

〈ミニインプラントオーバーデンチャーの利点〉
●通常のインプラントよりも治療費が安価であること
●インプラントができなかったケースでも適用範囲が広がったこと
●骨があまりないケースでも骨造成なしで埋入できること
●患者さんの外科的ダメージが少ないこと
●インプラント体に過剰な力がかからないのでインプラント体に優しいこと
●入れ歯の取り外しが非常に楽なこと
●インプラント体の清掃が容易なため長期安定性が期待できること
●手術時間が短いこと
●使用する器材が少なく、術式がシンプルなこと
●インプラント間の平行性がなくても入れ歯が装着できること
●ボタン式のようにあごの高さがあまりなくても適応できること
●総入れ歯だけではなく、部分入れ歯の補助的な維持装置として使用すると非常に良い入れ歯の安定性が可能となること

このようにミニインプラントオーバーデンチャーは、良いところがたくさんあります。
総入れ歯だけではなく、部分入れ歯において使用すれば非常に優れた安定性とバネなしの入れ歯にすることも可能です。
しかし、強度と維持力の点からして第一選択のインプラント体は、やはりレギュラータイプの太いものが良いと考えられます。
従って、この方法は総入れ歯のインプラント治療においては最終手段ともいえるもので、インプラント総入れ歯の第一選択ではありません。
ミニインプラントオーバーデンチャーは非常に良いインプラントシステムなので、当クリニックでもすぐに導入いたしますが、患者さんのお口の状態や経済状態などで適用ケースがまちまちなので、入れ歯でお悩みの方とご相談しながら、今後の臨床に役立てたいと思います。